庭木は定期的に剪定をしてあげる必要があります。
剪定をすることで、お住まいの景観を美しく見せるだけでなく、庭木を病気から守ることもできます。
しかし、庭木ごとの剪定時期や方法が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、庭木ごとの適切な剪定時期や選定方法、必要な道具などについて現役の庭師が解説します。
庭木の適切な剪定時期は4~6月と10~2月
庭木の種類によって少し剪定時期は異なりますが、基本的には夏季(4~6月)と冬季(10~2月)の時期に行います。
夏季剪定:庭木の成長を促すための剪定
夏季剪定は、伸びすぎた枝葉をカットして、きれいな形に整えるのが目的です。
いらない枝葉を剪定することで、夏の日差しを取り込みやすくなったり風通しがよくなったりします。
また、台風が来たときに枝が折れにくくなる効果も期待できます。
庭木が成長するタイミングなので過度に剪定してしまうと枯れてしまう恐れがあるため、あくまで軽く整えることを意識しましょう。
冬季剪定:庭木が成長に必要なエネルギーを蓄えるための剪定
冬季剪定は、庭木が活動を始める春を迎える前に、いらない枝葉を切り落とすのが目的です。
暖かくなって樹木が活動し始めたらきれいな形で成長できるように整えましょう。
この時期は樹木が休眠中であるため、夏季剪定より枝葉を大幅に減らしても問題ありません。
真夏の剪定は避けたほうがよい
真夏は庭木がすくすくと成長する時期です。
枝葉が伸びてきたからといってつい切りたくなりますが、真夏に剪定するのはあまりよくありません。
その時期に切り落としてしまうと、切り落とされた分だけまた枝葉を伸ばそうとしてしまうので余分に樹木の養分を使っている状態になります。
ただでさえこの時期は樹木に養分の蓄えが少ない時期なので、最悪の場合、養分不足で庭木が枯れてしまう可能性があります。
剪定はなるべく日差しが強くなる前に行うようにしましょう。
種類別の庭木の剪定時期一覧
常緑針葉樹の剪定時期:3~4月
常緑針葉樹の基本剪定は、新芽をつける前の3~4月がおすすめです。
寒さに強いため冬の寒い時期でも剪定できますが、春のほうが形の良い枝葉に成長させることができます。
また、不要な枝を取り除くだけの軽い剪定であれば10~11月頃に行っても構いません。枯れた枝が庭に落ちるのを防ぐことができます。
【代表的な常緑針葉樹】
・スギ
・マツ
・コニファー類
・ヒノキ
・マキ
常緑広葉樹の剪定時期:3〜6月
常緑広葉樹の剪定は、新芽が出てくる3月下旬~4月下旬か、ある程度新葉が落ち着く5月下旬〜6月頃が適しています。
軽剪定であれば8~10月頃に行ってもよいです。暑い時期に強い剪定をすると成長しづらくなってしまうため、低木にしておきたい場合はあえてこの時期に基本剪定することもあります。
常緑広葉樹は寒さに弱いので、11月~2月の基本剪定は控えましょう。
【代表的な常緑広葉樹】
・オリーブ
・キンモクセイ
・サザンカ
・ツバキ
・カシ
・サツキ
落葉広葉樹の剪定時期:12~2月
落葉広葉樹は落葉後の12月~2月に基本剪定を行います。
葉が全て落ちているので枝の状態が分かりやすいのです。
3・6・9~10月は軽剪定を行っても大丈夫です。しかし、4~5月、7~8月に剪定を行うと樹液が流れ出てダメージを与えてしまうため、剪定は行わないでください。
なお、落葉広葉樹の剪定は難易度が高く、やり方が悪ければ翌年の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。剪定に自信がない方はプロへの依頼を検討してみてください。
【代表的な落葉広葉樹】
・ヤマボウシ
・カシ
・ハナミズキ
・モミジ
・アオダモ
・アジサイ
庭木の剪定に必要な道具
剪定を始める前に、道具の準備が必要です。剪定に必要な最低限の道具について解説します。
剪定バサミ | ・直径2cmくらいまでの枝を切るときに用いる ・初心者は片側のみ刃がついているタイプがおすすめ |
剪定ノコギリ | ・ハサミで切りにくいような太い枝に用いる ・初心者であれば刃渡り25cmほどのものがおすすめ |
脚立 | ・手の届かない部分の剪定に用いる |
作業用手袋 | ・滑り止めのあるものがおすすめ ・軍手でも代用可 |
掃除用具 | ・ほうき、ちりとり、ゴミ袋が必要 |
自分で庭木を剪定するときの4つのコツ
忌み枝の種類を理解する
忌み枝(いみえだ)とは、本来伸びる方向とは違う方向に伸びてしまった枝のことです。
樹形を乱して、木の成長を妨げてしまうため剪定で取り除くことが必要です。
忌み枝は多くの種類があります。成長に必要な枝を切ってしまわないためにもきちんと確認しておきましょう。
硬い枝はハサミを回すように切る
硬い枝を一気に切ろうとするとダメージを与えてしまいます。
そのため硬い枝は剪定バサミを回すようにして切るのがポイントです。
剪定バサミには包丁のような役割を持つ切り刃と、まな板のように刃を受ける受け刃があります。
事前に切り刃でぐるっと切り込みを入れておくと、余計な力を使わずに切ることができます。
細い枝は付け根で切る
細い枝は付け根から切りましょう。
少し長めに切ると、残った部分が枯れて見た目が悪くなってしまいます。
細い枝は、枝に対して垂直に切ることを意識しましょう。
外芽の少し上を切る
具体的な切り方としては、上記図のように5~10mmほど上を斜めに切るようにしましょう。
芽には木の内側に生える内芽と外側に生える外芽があります。
内芽を残してしまうと、内側の枝が絡みやすくなり樹形が美しくありません。
自分で剪定するのが難しい時はプロにお任せを!
本来であれば、庭木1本1本に合わせて剪定時期や方法を変えるのがベストです。
しかし十分な体力と時間がないとご自身で剪定するのは難しいでしょう。
「剪定がうまくできるか心配」「けがをするかもしれない」と不安な方は一度プロに相談してみてはいかがでしょうか。
庭木の見栄えや剪定のスピードにこだわりたい方はぜひご連絡ください!
庭木を剪定して美しい景観を保とう
今回は庭木の剪定時期や方法、ご自身で剪定するときのコツなどについて解説しました。
樹木は人間のように成長したり、病気になったりするので適切なケアをしてあげることが大切です。
ぜひ正しい知識をもって庭木の剪定をしてみてください。