「木は自然形がベスト」との考え方もありますが、それはあくまでも野山での話。
その場所が自然風の庭でも、庭木はきれいに剪定して管理する必要があります。
庭という限られたスペースにある庭木を野放しに育てたのでは木は十分に育ちませんし、
育っても込み合って日照や風通しが悪くなり病害虫が発生して数年で枯れてしまうこともあります。
庭木は順調に育つために、小まめに手を入れなくてはいけません。　
庭師は木を「切る」とは言わず「はさむ」とか「おろす」と言います。
傷つく木の痛みを思えばこその表現。
どうか丹精込めて手入れをして木に愛情を注いでください。
花や木が好きな人ほど、庭にあれこれたくさんの種類を入れるように希望されますが、
庭造りで最も大切なのはバランスです。
狭い場所に好きなだけ木を植えてしまっては、
何年たっても風情のある庭にはなりませんし、育ちもよくありません。
石を置くときも同じ。
貫禄のある石や木を庭の主役に据えて、後は低木や少しあしらえば、
それだけで素敵な庭に見えるものです。庭を少しでも広々と見せたければ、すっきりとした印象を与えることが何より大切なのです。
庭を造るときは、「ちょっと寂しいかな」と思うくらいでちょうど良い。
かえってその方が趣のある庭に仕上がります。